文献詳細
文献概要
発言あり
家(いえ)
著者:
所属機関:
ページ範囲:P.217 - P.219
文献購入ページに移動どぶ川に変り果てた流れの中を,段ボールの箱がゆっくりと下って行く.その箱の中から捨てられたばかりの仔猫たちの,か細い泣き声が聞えてくる.仔猫たちにとって,この段ボール箱が束の間の家であり,この先どうなるのかは誰も知らない.
人間が自ら作り出した文明は,とどまるところを知らずに,われわれ人間を押し流して来た.ここ四分の一世紀の加速度をつけた文明の変化は,もう自らの力ではどうししようもないほど,個人の生活を押しひしゃげさせてしまった.
掲載誌情報