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特集 公衆衛生医師
産業医
著者: 山本秀夫1
所属機関: 1労働省労働衛生課
ページ範囲:P.328 - P.332
文献購入ページに移動労働省では,昭和22年以降,働く人々の健康と安全をまもるため,労働基準法に基づく諸規則を整備し,じん肺法などの単独法を制定し,これにもとづいて監督指導をしてきたのであるが,産業社会における認識が十分でなかったこと,新たな健康障害についての配慮が不十分であったことなど,様々な原因が重なって,労働災害ことに業務上の疾病の増加が目立つようになった.(表1)
また,労働基準法は労使間の枠でのみ規制が行なわれてきたが,有害物などについては流通段階での規制が必要であり,建物貸与をうける下請ほかの労働者に対する保護も考えるべきものがあり,特定の有害業務従事者で離職した者に対する健康管理も国が行なう必要があること,また,中小企業に対して技術的,財政的援助をすることの必要性など多くの諸問題を解決するため,表2に示すような事項を中心として,有識者による意見をとりまとめ,中央労働基準審議会の賛同をえて,国会に新しい労働安全衛生法案を提出し,審議をいただいたところ,昨年6月,昭和47年法律第57号として,ほぼ原案どおり,全党の賛成をえて成立し,本年4月から全面的に施行されることとなった.
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