特集 公衆衛生医師
学校医
著者:
高桑栄松1
所属機関:
1北海道大学衛生学数室
ページ範囲:P.333 - P.339
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学校医はいかにあるべきかということを考えてみると,それは学校医になにが期待されているかということであり,そのことは学校保健とはなにかということから必然的に帰納される問題であろう.そこではじめに,学校保健ということについて考える必要がある.学校保健は保健管理と保健教育という二つの柱から成り立っている.すなわち学校保健の充実強化は,学校における保健教育および保健管理の両者が両輪となって始めて達成されるものであることを意味している.この考え方は,学校保健について,学校医だけがその責任を負うということではなくて,これに関係のある人たちすべての協力によって推進されるものであることを示している.したがって,学校医の仕事は,児童・生徒についてその疾病を発見・治療し,これを予防するにとどまらず,さらにその健康の保持・増進に資することが期待されているのである.
ともあれ,学校医の主たる任務の一つは学校健診にあると考えられているが,日本医師会主催の第3回全国学校保健・学校医大会が札幌において開催され(昭和47年9月),その際「学校健康診断の問題点と今後のあり方」と題するシンポジウム1,3)が行なわれた.ここでいわゆる北海道方式2)を中心として論議がすすめられ,現代に即応した学校健診についての具体的な展望が開かれたように思われる.