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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生37巻8号

1973年08月発行

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特集

公衆衛生と私

著者: 新井宏朋 ,   井口恒男 ,   石丸寅之助 ,   小栗史朗 ,   小野寺伸夫 ,   小野寺正子 ,   河路明夫 ,   河野公一 ,   河村良一 ,   小糸賢太郎 ,   小島武雄 ,   猫西一也 ,   佐々木雄司 ,   笹野英子 ,   島正吾 ,   白戸三郎 ,   鈴木大輔 ,   高橋英雄 ,   田口勝久 ,   堤隆信 ,   土肥四郎 ,   中野英一 ,   西正美 ,   野崎貞彦 ,   野崎俊夫 ,   羽生田護 ,   福渡靖 ,   細谷康朗 ,   堀口隆 ,   政野敦子 ,   真野元四郎 ,   皆川清人 ,   牟岐梧樓 ,   柳井勉 ,   山本幹夫 ,   吉田哲彦

ページ範囲:P.516 - P.560

公衆衛生とは何か―問いやすく答え難いこの問いかけにさまざまに答えていただいた36人の「私」の肉声は,読者の胸に,あらためて「公衆衛生」と自分との関わり方に就き真剣な問い直しを迫るのではないでしょうか.そんな願いをこの特集に籠めてみました.(筆者の配列は五十音順)

発言あり

実子あっせん

著者: ,   ,   ,   ,  

ページ範囲:P.505 - P.507

血の倫理にメスを
 開業医というと,つい視野狭窄で閉鎖的といつたふうなイメージでとらえがちな著者も"実子斡旋"事件の菊田医師の意図を知るにおよんで,なにやら一服の清涼感にひたつたのであつた.
 菊田氏は,この難問を陰微な方法で処理することなく,当初から,はつきり,社会問題化する意図をもち,世人の判断を求めるつもりだつたようである.その証拠に世間のせまい地方新聞より大新聞で問題化させようと記者の取材にさいしては態度を変え,前者には「実子のように育ててくれる人を求めるという意味だ」と広告文を説明し,後者ではくりかえして「実子として云々」と説明したと語つている.

研究

医師会と予防接種

著者: 鈴木大輔

ページ範囲:P.508 - P.512

 種々の公衆衛生活動に関して医師会の協力は極めて重要な条件の一つであるが,時として十分な協力をえられないこともあり,稀には強力な拒否運動を展開されることもある.特に予防接種に関しては昭和45年の秋,いわゆる品川事件で医師の刑事責任が追求されたのを契機として,全国的な医師会の予防接種拒否運動に事態が発展して大きな社会問題・政治問題になったことは記憶に新しいところである.また,つい最近には岡山県医師会1)がワクチンの安全性等の点から三種混合ワクチンには当分の間,協力しないという決定をしたことが伝えられた.
 現在の予防接種行政のあり方,あるいはワクチンの性状からして,こうした異常事態は今後も起こりうる可能性が大であることが憂慮される.

訂正死亡率と集団検診による地域保健調査

著者: 小松五郎

ページ範囲:P.513 - P.515

 急性伝染病や結核の死亡率の高い時は,その病気が流行している時であったが,抗生物質と予防接種と食品衛生の普及は,これらの死亡率も罹患率も著しく低下せしめて,結核以外の伝染病も届出は著減し,日常の保健所活動の主な目標ではなくなり,かわって化学物質の環境汚染による健康障害が問題となっている.しかし,その被害の状況は,公害認定地域の発病者の治療費の公費負担申請によって知らされるだけであって,予防医学上の考慮をされていない.著者は訂正死亡率を用いて地域保健の状況を検討し,住民の集団検診を行なって,訂正死亡率との関係を追求し,いささかの所見をえたので報告する.

資料

自動車排気ガスによる街路土壤の重金属汚染について

著者: 関敏彦 ,   阿部幸史 ,   星川秀彦 ,   井上康子 ,   回谷教男 ,   近藤師家治

ページ範囲:P.561 - P.563

 Motarizationの進展に伴ないわが国の自動車台数は年々増加しており,宮城県内においても自動車登録台数1)が,昭和46年3月末現在で,200,496台と昭和36年の8.2倍にも急増している(仙台市内の登録台数は昭和46年3月未で,51,135台).東北の中心都市である仙台市内の主要道路は,他都市からの車両の出入りも加わり,仙台バイパス開通後も依然として交通渋滞をきたしているところが多い.この自動車交通量の増加により,交通事故の増加とともに,自動車排気ガスによる大気汚染が考えられ,われわれは数年前から仙台市内の主要幹線道路の自動車排気ガスによる大気汚染調査2),車種別による自動車排気ガス中の,一酸化炭素濃度の測定3),自動車排気ガスによる鉛公害の人体に対する影響調査4),自動車Gasoline中に含有する重金属含量の調査5)などを実施してきたが,今回は自動車排気ガス中に含有する鉛(Gasoline中にはAntiknocking剤としてTetra Alkyl鉛が0.1〜0.3ml/l程度添加されている)を中心とした重金属が大気中に拡散後,街路土壌表面に降下蓄積することが考えられるので,仙台市内の主要幹線道路と対照地域(市郊外)の土壌中の重金属含量および排気ガスの飛散傾向を調査する目的で,市中心部にある勾当台園において,車道からの距離による重金属の減衰量につき調査を実施したので発表する.

健康に関する権利規定・8

世界の憲法1967年,1966年

著者: 西三郎

ページ範囲:P.574 - P.575

 1967年憲法を制定した国は,6月にコンゴ(キンシヤサ)(Congo Democratic Republic of)1971年10月国名をザイールと改称,面積235万平方キロ,人口216万(1970,年代無記入は1970年),医師1人あたり人口33,713(1969),5月エクアドル(Ecuador面積28万,人口609万,人口/医師2,767(1969)),3月南ベトナム,(Republic of Viet-Nam面積17,4万,人口1,833万,人口/医師12,236),2月ボリビア(Bolivia面積110万,人口493万,人口/医師2,301),1月ブラジル(Brazil面積851万,人口932万,人口/医師1953)の5カ国である.ボリビアは,71年8月軍部のクーデターがあり政情不安定であることより紹介を割受した.
 1966年は,新しく,イギリスより独立した,バルバドス(Barbados面積431平方キロメートル,人口24万,11月独立),レソト(Lesothoもとイギリス保護領バストランド,面積3万,人口92万,10月独立),ボッワナ(Botswana面積60万,人口65万,9月独立),ガイアナ(Guyana面積21万,人口72万,5月独立)の4カ国に,ドミニカ(Dominican面積5万,人口407万,人口/医師1684(1969),11月憲法制定)の5カ国である.

論稿

公衆衛生の論理と福祉

著者: 丸田秋男

ページ範囲:P.569 - P.573

 今日はおしなべて変ぼうの過程にあるといえる.激動の過程にあって,今日ほど「福祉」という言葉が氾濫し,多用されている時代はかってなかったといえよう.
 それだけに福祉に対するはっきりとした実感としっかりとした理解が強く望まれるものであるが,私たち一人一人の生活にとっては曖昧な実体の域を脱していないようである.

最近の話題から

魚介類の水銀暫定摂取量限度の発表

著者: 竹内端弥

ページ範囲:P.564 - P.565

 先日(6月24日),各新聞,テレビを通じて,魚類の水銀暫定摂取限度なるものが厚生省から発表された.今回の発表は残留農薬,PCBなどの汚染物質の食品の許容基準とは趣きを異にし,一般の消費者にもよく理解して貰えるように魚種ごとに1週間何匹までという具体的な摂食指導が行なわれたのが特徴である.たしかに厚生省としては画期的な指導方法ではあった.しかし,一般の人たちにはそれ以上の魚を食べてしまったら発病をする可能性があるのかという不安を与えてしまい,国民を混乱にまきこんでしまった.
 これまでの対策 魚介類の水銀汚染は,熊本県水俣湾,新潟県阿賀野川についで,今年5月熊本県有明海で第三水俣病が発見されている.たしかに水銀に関しては,各地で汚染魚が検出され,すでに患者,死者が発生していたにもかかわらず,まだ許容摂取量限度が決められていなかった.ただ昭和43年に「魚穫された100匹中20匹の魚に1ppmを超える水銀が検出された場合に,精密検査をする」という暫定対策要項が決められただけである.

わが研究所 北海道立衛生研究所

「やる研」を目ざして

著者: 安倍三史

ページ範囲:P.566 - P.567

過去
 1.創立昭和24年9月3日,所長以下51名,5課(科)13係で発足する.
 2.昭和30年9月,北海道食糧栄養研究所を併合し1科(食糧栄養学科)を加える.

根をおろす医師会活動

いわき市医師会・公害対策活動

著者: 目沢秀元

ページ範囲:P.568 - P.568

 いわき市について 福島県大平洋沿岸の最南部を占め,昭和41年10月1日,平,内郷,常磐,磐城,勿来の5市,石城郡の4町4村および隣接双葉郡の1町1村が合併して誕生した.その面積は全国一,人口は東北第2位である.平は市役所所在地,常磐および内郷は鉱業地域,磐城および勿来は小名浜港をかなめとした化学,非金属工業を主体とする工業地帯であり,さらに沿岸の漁業,山間部の農林業ときわめてバラエティに富んだ広域都市である.
 当地区は昭和39年3月郡山地区とともに,新産業都市に指定された.小名浜港を中心として,臨海工業地帯の開発の進行とともに亜硫酸ガス,粉塵等の大気汚染,河川・海水汚染,カドミュウム汚染およびPCB汚染等の公害が年とともに悪化しつつある.

日本列島

結核住検受診率26.6%—札幌市

著者: 吉田憲明

ページ範囲:P.512 - P.512

 札幌市の結核住民検診は,年1回地域住民の協力をえて行なっているが,この程,全市の成績がまとまったので報告する.
 この表によると,札幌市では受診率が26.6%で,30%に満たないわけであるが,大都市の住検というのは大体この辺にあるらしい.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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