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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生38巻10号

1974年10月発行

文献概要

特集 親子

片親

著者: 樋口恵子

所属機関:

ページ範囲:P.544 - P.545

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 娘が4歳のときから片親稼業を始めてことしでちようど11年.片親であることはもうすっかり板について少しも違和感を感じなくなった.今さらもう1人の親に出てこられても,親子ともどもとまどうに違いない.でも,こんなことが言えるまでには,こちらとしても10年以上の年季がはいっているのであって,片親になって数年間は,ずいぶん「片親なるがゆえの問題点があるのではないか」と気を遣ったものだった.娘に対して「片親だからと言われぬように」などという馬鹿馬鹿しい小言は一度も言った記憶はないが,私のいささかの気負いや気遣いは,子どもに十分伝わっていたらしい.先年,長らく住みなれたマンションを出て一戸建ての家に移ったときに,娘は問われもしないのにこんな感想を口走ったものである.
 「これでやっと安心したわ.わたしはパパが居ないのはなんとも思ったことないけれど,家がふつうの家じゃないっていうのは,ほんとはイヤだったんだ」

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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