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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生38巻4号

1974年04月発行

文献概要

発言あり

人口ゼロ成長

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.201 - P.203

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予測と行動の谷間に立って
 医者は病気の診断がつくと,それだけで自分の仕事の9割がたが終ったような錯覚をもつことがあります.しかし,正しい診断も適切な治療にむすびつかなければ意味がありません.自分の診断の正しさが病理解剖台の上で証明されたのではいけないのです.公衆衛生の領域でも同じことが言えます.公衆衛生の診断学は疫学だと言われますが,疫学的な業蹟があがれば,その問題は公衆衛生的にかたがついたと思ってはいけません.例えば煙草が肺癌の原因であることが疫学的に証明されることと,喫煙習慣をなくする方策が確立されることとは別個の科学的アプローチを必要とする異なった問題なのです.すなわち,問題の分析と解決は別のものだという認識をもつことが必要です.
 さて,最近,人口爆発が原水爆や環境汚染とならんで人類滅亡の原因として注目されるようになりました.世界人口は,あと30年で2倍の70億となり,80年後には4倍の140億に達すると予測されております.宇宙船 "地球号" は積み込まれている限りのある資源を急速に使い果たしつつあり,あまり遠くない将来において人類の滅亡が心配されております.今日,この人口爆発という問題提起には,うてばひびくように人口抑制という答が返ってきます.この危機にある人類を救う唯一の道は人口抑制にほかならない.人口問題は人間自身の "生" の問題になったという訳です.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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