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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生39巻8号

1975年08月発行

文献概要

特集 "環境"を考える

自然環境といのち

著者: 石神甲子郎1

所属機関: 1日本自然保護協会

ページ範囲:P.543 - P.546

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いのちとたましい
 生物共通の生存目的として,先ず個体維持を計り,次いで,種族維持を計ることが生物固有の営みである.この原則は植物であろうと動物であろうと差異はない.人間も動物の一種族に過ぎぬので,同様に個体維持と,種族維持とが,何物にも優先する本能である.いいかえれば,人にとって最も大切なものはいのちであり,次は子孫を残すことである.ところが,わが国の人々は平常の生活に平和や安全について,特に努力することを要せず,また,生命の不安もなく過しているので,己の生命の貴重さや大切さについて無反省な生活を送っている者が多い.
 しかし,一度天災や人災などが発生して,己の生命の危機が身に降りかかった場合には,俄然自己防衛のために無意識の間にも全力をつくして,生命の防護に努力せぬ者はない.このことは,人に取ってかけがえのない最も貴重なものは生命であるということを,本能的に身につけている証拠である.ちなみに自己防衛力を失った生物は必然的に消滅する運命となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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