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研究
保健婦の地域分布
著者: 保々萬里1
所属機関: 1大阪府岸和田保健所
ページ範囲:P.52 - P.64
文献購入ページに移動保健婦制度は昭和16年に設けられ,当初は医師不足を補うような意義もあったようであるが,昭和22年の保助看法の制定による質の向上や国民健康保険事業の発展,学校や事業所等での需要の増加等が相まって質・量ともに変化をみたが,公衆衛生のうちの対人保健サービスは保健婦なしには考えられない現状となっている.ところが,戦後の急激な医療の進歩・改善や国民皆保険の実現,あるいは新憲法による人権意識の浸透,老人医療費の無料化や人口の急増と急激な高齢社会化等によって,医療需要の急増がおこり,このため医師・歯科医師・看護婦等の医療従事者数不足の問題は国民全体の問題として関心と議論の標的となっている.これに比べると,保健婦数の問題は,日本公衆衛生学会においてさえ今まで取り上げられたことがなく,このことは,公衆衛生関係者といえども真に関心があるのかの疑問さえいだかせる.このような差が何ゆえにおきたかの理由は,医療には個々の国民が日常不便を経験している切実な問題があるのに反して,公衆衛生には切実性が少なく,また,保健所・府県等の行政専門家は日常業務に追われて地域の問題にとらわれ勝ちで,全国的視野からの展望がおろそかになりやすいことにあると考える.そこで以下に,医師等をはるかに越えた,保健婦数の府県による地域差がある実態を明らかにしたので,関係者はもちろんのこと読者を通じて国民の関心を少しでも深めて戴くことを祈念したい.
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