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綜説
有害物質による危険度の推定と環境保健—水銀の暫定的摂取量限度を中心に
著者: 滝沢行雄1
所属機関: 1秋田大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.716 - P.722
文献購入ページに移動近年,環境問題はますます複雑性を加え,環境保健の重要性が大いに認識されるに至った.ところで,環境中の有害物質の人体に及ぼす影響は,特有な病像を示すに至るまでに亜急性ないし慢性の経過をとり,その成因についても,有害物質の摂取量はもとより,個人差が介在してすこぶる複雑な関係にある.
環境保健(environmental health)とは,その終極の目的が,環境破綻の広範な防止のみならず,最適の環境条件の開発を意味し,人間の健康と厚生に積極的に寄与することにあろう.すでにWHOが水銀,カドミウム,鉛などの有害物質のレベルと健康障害との関係を明らかにする保健判定基準(criteria)の策定に着手してきたが1),OECD環境委員会の化学品セクターグループによる有機塩素系殺虫剤,水銀,PCBなどの勧告をみても,いま環境保健に特別の関心が向けられていることは容易に看取できる.
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