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特集 産業衛生と地域保健
緒論・わが国の産業構造の特徴と地域保健
著者: 西川滇八1
所属機関: 1日本大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.442 - P.443
文献購入ページに移動地域保健活動community health serviceは,それが対象とする地域社会が複雑多岐であり,しかも流動的な諸要因を含んでいるので,決して一律に進めることはできない.W.ロストウが,社会経済的発達段階を,伝統的社会・過渡期・離陸期・技術的成熟期・高度大衆消費時代の5段階に分類して,それぞれの社会に対応した公衆衛生活動が必要であることを強調してから久しい.
わが国のレベルは,W.ロストウがいう高度大衆消費時代に相当している.政府は福祉国家をうたい,社会政策は社会保障から国際分業の一翼をになう社会計画をつくろうとしている.労働力人口5,200万人のうち,第一次産業人口がしめる割合は,ようやく19%弱である.都市人口が全人口1億1千万人にしめる割合は,ロストウの基準の60%を越えている.1965年頃から東京・中京・近畿の三大都市圏の人口増加は社会増加から自然増加に変わってきて,いわゆるUターン現象が現われたとはいえ,依然として都市に生活の本拠をおくものが全人口の3分の1に近い.
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