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特集 プライマリー・ケア
ソビエト連邦におけるプライマリー・ケア
著者: 橋本正己1
所属機関: 1国立公衆衛生院・衛生行政学部
ページ範囲:P.266 - P.269
文献購入ページに移動今日のソ連における保健システムは,革命以来60年に近い苦難に満ちた建設の努力によって形成されたものである.その現在の姿は,全人民を対象とした総合的な保健サービスの全国的組織化という観点から,なお多くの課題を今後に残してはいるが,2.48億の人口と2,240万km2(日本の約60倍)の広大な国土を対象として,世界的にみてきわ立ったstate health systemを示している.第二次大戦後に社会主義国となった東欧諸国も,現在ソ連をモデルとしたstate health systemを有しているが,それらに共通する最大の特色のひとつは,全土的なピラミッドを形成している保健システムにおいて,primary health careが,文字どおりピラミッドの基盤をなす構造として,その拡充整備に対して,政策的に最大の力点がおかれているところにある,といってよい.すなわち,近年,発展途上の諸国はもとより,先進的諸国においても,改めてprimary health careが重要な政策的課題としてとりあげられているのであるが,そのなかでソ連の場合は,すでにきわ立ったシステムが形成され,運営されて成果を収めている点で,逸することのできない貴重な実例であるといってよい.
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