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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生41巻8号

1977年08月発行

文献概要

特集 予研30年の歩み—伝染病の推移

ワクチン

著者: 黒川正身1

所属機関: 1国立予防衛生研究所一般検定部

ページ範囲:P.570 - P.570

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終戦後10年のワクチンの状況■
 筆者の手元に,1949年から50年頃にわたって制定された生物製剤基準の綴りがある.そこに基準のある製剤としては,細菌ワクチンでは腸パラ,コレラ,百日咳の各ワクチン,ジフテリアと破傷風の各トキソイドのほか,ウイルスワクチンでは痘苗とインフルエンザワクチンがあるだけである.別に,1947-1948年度の予研年報の検定品目には発疹チフスワクチンがある一方,上記の製剤中,百ワク,フルワク,破トキはまだ現われていない.この時期の予防接種の主要対象の反映であろう.ついでであるが,1947年度の年報の検定件数の記録によると,腸パラワクチン2,864件中667件(約23%),コレラワクチン160件中67件(約42%),発疹チフスワクチン156件中42件(約27%)が不合格となっている.これらの数字にもいろいろ話題があるが,その頃の製品と品質の一端をうかがえるだろうという指摘と,それぞれの合格量は約14万l,5,000l,5,000lであったことを附記するに止めておこう.
 このあと数年を経た1956年の生物学的製剤基準には,BCGとワイル病ワクチンが載って細菌ワクチンは出揃ったことになる.一方,ウイルスワクチンは狂犬病と日本脳炎の各ワクチンが顔を出しているだけである.この辺が戦後10年目頃の状況である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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