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特集 予研30年の歩み—伝染病の推移
麻疹・風疹
著者: 宍戸亮1
所属機関: 1国立予防衛生研究所麻疹ウイルス部
ページ範囲:P.572 - P.572
文献購入ページに移動麻疹および風疹は,小児の伝染病として古くからその存在が知られている.その病原体はヒトの社会に長く定着して生存しつづけてきたが,それに対する特別の予防対策はほとんどとられていなかった.ヒトは麻疹に対して感受性が高く,90%以上のヒトは顕性に発病するが,小児にとっては麻疹は決して軽い病気ではない.風疹は「3日はしか」ともいわれ,臨床的には麻疹によく似ているが,症状はそれよりははるかに軽い.病原学的には両者は全く違った病気であるが,それが明瞭に区別できるようになったのはむしろ最近で,それは,最近になってようやく両者の病原体(ウイルス)が確実に分離,培養できるようになったからである.したがって,病気の血清学的診断,予防接種など,これらの病気の予防対策が実際的に行われるようになったのも,極めて最近のことである.
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