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特集 市町村保健計画の実際
市町村保健計画の経緯と課題
著者: 橋本正己1
所属機関: 1国立公衆衛生院衛生行政学部
ページ範囲:P.622 - P.623
文献購入ページに移動住民に最も身近な自治体である市町村の保健計画の重要性,その条件,プロセスと技法を含む進め方について論議され,また努力がなされるようになってすでに久しい.すなわち,前史的段階は別として,この課題が明確な問題意識に立って公的に提起され,社会経済環境の激動の中で,国,地方公共団体により,いわゆる共同保健計画として進められるようになったのは,昭和35年来のことであり,すでに20年に近い歳月が流れた.
この20年は,世界的にはもとより,わが国にとって誠にきびしい激動の時期であったことは,改めて述べる必要はないであろう.前記市町村の共同保健計画とこれに対する保健所の役割,また計画を進めるための理論的基礎と枠組み,組織とプロセス,実用的な技法等については,当時テキストとして刊行された『保健所管理』(厚生省保健所課監修,日本公衆衛生協会刊,1961)に集約されており,その内容は今日においてもほとんど修正を要しないものである.これによって提示された課題へのアプローチの方式——地区把握・地区診断・共同保健計画——は,その後関連学会等において多くの発表と論議を呼んだが,巨視的にみてその進展はあまり芳しいものとはいえなかった.
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