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特集 防災と公衆衛生
気象災害と公衆衛生
著者: 奥田穰1
所属機関: 1気象研究所台風研究部・第2研究室
ページ範囲:P.690 - P.695
文献購入ページに移動筆者は公衆衛生についてはズブの素人である.「広辞苑」や「百科辞典」によって"にわか勉強"をして書いたのであるが,的をはずれた論述が多いと思われるので,諸先生の御叱正をいただければ幸甚である.
さて,本論に入る前に気象災害の定義を下しておく.「災害とは,人間とその労働の生産物あるいは生産の対象となる土地,動植物,施設,生産物が,何らかの自然的あるいは人為的要因(破壊力)によって,その機能を喪失しあるいは低下させる現象をいう」.そして気象災害という場合には,自然的要因(破壊力)の主たるものが気象である場合をいうべきであるが,そうすると非常に狭い範囲に限定されるので,気象によってもたらされた付随現象の破壊力によって被る災害をも普通,含めている.また,近年の大気汚染害等の公害や大火は,害性のある汚染物質や火炎・火の子を集中させ,拡大させる条件を与えるに過ぎないので,気象災害から除外するのが筋の通った定義となろう.
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