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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生42巻5号

1978年05月発行

文献概要

発言あり

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.289 - P.291

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利害を客観的なデータによって語らせよ
 私どもが学生の頃の講義で,日本では欧米のようなアルコール中毒の患者は多くはないと聞いていた.しかし,近頃は日本でも,しばしばアルコール中毒が問題になってきている.昔,日本に少ないといわれたのは,幻覚や振戦,譫(せん)妄などを伴うようなアルコール嗜癖ないしは慢性アルコール中毒のことと理解されるが,今日,このような患者が増してきたのだろうか.高歌放吟したり,泥酔,嘔吐など銘酊状態を呈す,いわゆる酔っぱらい(急性アルコール中毒)の如きは,昔も今も,わが国の夜の巷でみるほどには,諸外国でみることはない.それは,日本で目につく感心できない風景として,外国人からも指摘されている.
 北欧などで,ときに,泥酔者をみかけることはあるが,酔っぱらい群というのは稀で,多くは孤独な泥酔者である.そして,世間も酔っぱらいを大目にみる気風が少なく,泥酔者への眼は冷静なようである.ヨーロッパで醸造酒から蒸溜酒へと酒造方法が発展するとともに,慢性アルコール中毒は健康上の重大な問題として,社会にクローズアップされてきたという.日本でも近年,洋酒や焼酎が好まれる傾向と,慢性アルコール中毒患者の増加が伴っているともいうが,この辺のことは確かには知られない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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