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特集 アルコール中毒
アルコール中毒と公衆衛生
著者: 額田粲1
所属機関: 1東邦大衛生学
ページ範囲:P.292 - P.294
文献購入ページに移動飲酒の習慣は,第2次世界大戦後世界の主要国では,文字通りpandemicな様相を呈している.このような飲酒量の急激な増加により,これらの国では飲酒に係わる病気(alcohol related disease)が多発し,WHOの報告によると,医療,公衆衛生,社会福祉,社会保障の面で多くの問題をひきおこし,病院の病床の過半数が飲酒に係わる患者で占められたり,保健サービス予算の4割がこれらの患者の医療のために費やされたりする例もみられる1).
戦後急速な経済成長を遂げた日本も,先進国の一員として例外ではない.日本人の飲酒量は戦後一貫して直線的に増加し,飲酒量は国民1人当たりで年間7lを軽く突破し,西欧水準に近づいている.現在,日本でも,アルコール問題が社会問題化していることは,新聞,テレビの報道にみるように,調査の必要もないほど周知の事実となっている2).
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