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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生43巻10号

1979年10月発行

文献概要

特集 心身障害児

障害児教育の問題—奥中山学園の経験から

著者: 本庄義雄1

所属機関: 1(岩手県)奥中山学園

ページ範囲:P.711 - P.714

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■障害児にされてきた子どもたち
 旭君が学園に入園したのは,今から4年前,8歳の時でした.ヨチヨチ歩きでオムツをつけ,言語はありません.要求や不満を表わすのに,舌をギーギーと鳴らしたり,頭をこぶしで強くたたいたりするのでした.不思議なことに,日中頻繁に尿をもらしているのに,夜尿が全くないのです.
 旭君の家は,生活を維持するため動ける大人はみんな,農作業につかなければならない状態でした.祖母が,寝たっきりの祖父と炊事,そして旭君の子もりを引き受けていたのです.しかし,看病と炊事に追われて旭君の子もりまで手がまわらなくなり,旭君がやっと立てるようになった3歳の頃,家の真ん中の柱に,2メートル位の帯でつないだのです.そして,そんな彼をなぐさめようとテレビをつけ,おやつを与え,母親は昼と夕にむれたオムツを取りかえてやるのでした.脳をはじめ身体の諸機能が全般にめざましく成長発達する幼児期の旭君の環境はそうだったのです,それに加え,母親を呼ぶ手段として,舌をギーギー鳴らしたり,自分の顔や頭をこぶしでおもいっきりなぐって,ギャーと泣くことが身についていったのでした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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