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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生43巻12号

1979年12月発行

文献概要

特集 感染病の国際的動向とその対策

インフルエンザ流行の歴史と予測

著者: 大谷明1

所属機関: 1国立予防衛生研究所ウイルス・リケッチア部

ページ範囲:P.848 - P.851

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■流行の歴史
 インフルエンザウイルスの粒子は図1に示すように球型または棒状で,ウイルス核タンパクは脂質に富んだ被膜に被われており,その被膜にはそれぞれHAとNAと呼ばれるタンパクで構成される2種類の突起(スパイク)が多数存在している.このHAとNAのタンパクは,インフルエンザウイルスによる感染と免疫に最も重要な役割をもつことがわかっている.これらのタンパクはそれぞれ独立した遺伝子の情報にもとづいて細胞内で合成されるもので,遺伝子が多少変化すると合成されるタンパクも変化を受ける.HおよびNのタンパクに大きな変化が起こったものについては,それぞれH1,H2,H3,N1,N2のように分類されて,ウイルスの抗原型と呼ばれる.
 ヒトのインフルエンザ流行史において,大きな流行が起こったときには,ウイルスのHAタンパクに大きな抗原型の変化が伴っていることが記録されている(表1),NAの変化はHAの変化ほど大きく流行に関係していないようである.H,Nの両抗原型はそれぞれ独立に変化するので,HとNの多様の結合型が存在する.表1に見るように,1918年以来Hの抗原型は通常,約10年ごとに変化してきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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