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特集 感染病の国際的動向とその対策
エルトールコレラの流行—第7次pandemic
著者: 小張一峰1
所属機関: 1琉球大学内科
ページ範囲:P.852 - P.854
文献購入ページに移動19世紀から20世紀の初めにかけて,コレラが6回にわたって世界各地に大流行をしている.そのpandemicの源はいずれも,コレラのふるさとといわれていたインドのガンジス川デルタ地帯であった.ところが,第7次pandemicと呼ばれる1971年以来の大流行は,従来のインド由来のものではなく,セレベス南部の一地区に長らく土着していたエルトールコレラが,急に各地に蔓延した結果であった.
エルトールコレラの1961年後半から1962,1963年にかけて,東南アジアの各地へと蔓延していった有様はまことに凄まじく,まさに"pandemic"と呼ぶにふさわしいものであった.その後も流行はだんだんと西進し,1970年にはアフリカにまで及んだ.年による流行の消長はあったが,いまだに広い範囲にわたって患者発生がつづいている現状は,第7次pandemicが継続しているものとされている.確かに,発生国の数も減ってはいないが,近年のコレラの臨床症状に軽微なものが多いこともあって,現在の流行状況はpandemicという実感とは程遠い気がしないでもない.
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