公衆衛生43巻2号

1979年02月発行

特集 小さなコミュニティにおける公衆衛生活動—方法論を中心として

コミュニティにおける精神衛生活動

著者： 逸見武光¹

所属機関： ¹東京大学精神衛生学

ページ範囲：P.105 - P.108

■はじめに
　与えられた課題に関しては，わが国においてもこの十数年間，多くの精神科医が論じており^3）5）1960年代からの最大の問題といっても過言ではない．したがって，ここで総花的に論じてみても，それほど意味のあることとは考えられない．また，ある意味では，1960年代の後半から各国で一斉に始まった精神障害者の地域社会におけるケア・サービス活動が，いま大きな壁にぶつかって，これからどのように方向づけていくのかを判断できずに，途方に暮れている状態にある，ともいえる．そこで，またしても抽象的なかけ声を，具体的方法の提示を欠いたままでかけることには，気恥ずかしさというよりは，無責任さを覚えるので筆がとり難い．