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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生43巻3号

1979年03月発行

特集 地域精神衛生活動

拡大する地域精神衛生活動の課題

著者: 大原健士郎1

所属機関: 1浜松医大精神神経科学

ページ範囲:P.156 - P.163

文献概要

■はじめに
 筆者が社会精神医学に関心を抱き出してから,すでに20余年を経過した,当初は,社会病理現象に,精神医学の分野からいかにしてアプローチすべきかに腐心したものである.そして次には,精神病理現象に社会的な因子が,いかに関与しているかを考えた.
 筆者自身としては,精神科医に対しても,また社会学者や公衆衛生畑の学者に対しても,かなりの不信感を抱いていた.抱いていたというより,いまだに疑問を抱いているといった方が適切かもしれない.というのは,精神科医,とくに精神病理学者は,数少ないケースから思弁を発展させて,結論を導き出していく傾向があるからである.そのケースが全体の中でどのような地位を占め,どのような意義を持っているかには,無頓着なのである.もちろん,精神病理学領域にもすぐれた研究は多い.それらは,全体を直観的に鋭く見抜き,巧みにケースを駆使している,しかしこれは,数少ないすぐれた精神病理学者にして,はじめてなし得る業なのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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