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講座 臨床から公衆衛生へ
プロスタグランディン
著者: 相馬広明1
所属機関: 1東京医大産婦人科学
ページ範囲:P.366 - P.367
文献購入ページに移動過去10年間のうち,医学の分野で,数多くの作用と用途が開発され,おびただしい数の報告がなされているのは,プロスタグランディンに関する知見ではなかろうか.
既に40数年前にVon Eulerらによってヒト精液抽出物の中に,平滑筋の収縮作用のあることが見出されており,これが前立腺(prostata)から分泌されるという考えから,プロスタグランディン(prostaglandin,Pgと略す)と名づけられた.しかし,この精液Pgは精嚢から分泌されることが後年確かめられたが,プロスタグランディンという名称は,そのまま存続してきた.当時Von Eulerらは,その物質が脂肪酸の誘導体であり,その生物活性はヒトだけでなく,サル,ヒツジ,ヤギなどの精液中にも存在することを見出した.その後Bergstrom(1960年)らにより,ヒツジの精嚢腺からprostanoic acidである不飽和脂肪酸が分離された.これは,8個の炭素鎖および末端にカルボキシル酸グループを有する7個の炭素鎖が接続する5員環から成る(図).
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