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特集 環境汚染による健康被害者の救済 公害事例別にみた補償・救済の現状と問題点
水俣病
著者: 二塚信1
所属機関: 1熊本大学公衆衛生学
ページ範囲:P.386 - P.393
文献購入ページに移動昭和31年4月,水俣病患者の発生が確認されて以来,今日まで23年の歳月が流れた.当時の先天性(胎児性)水俣病の患者たちが既に成人に達しつつあることを考えれば,その歳月の長さが実感されよう.この間,チッソ水俣工場は43年5月に,アセチレン法によるアセトアルデヒド生産設備の稼動を停止している.工場の生産状況と関連海域の汚染状況の推移は図1のようである1).
本年2月現在の水俣病認定患者数は熊本県関係で1,275名(うち死亡者253名),鹿児島県関係で248名(うち死亡者28名)であり,合計1,523名(うち死亡者281名)を数えている.このほか,現在認定審査を申請中で未処分の状態にあるものが,熊本県関係で5,210名,鹿児島県関係で685名にのぼる.水俣病認定患者の発生地域は図2のようで,水俣市を中心に不知火海(八代海)を囲む直線距離で南北40km,東西15kmに及んでいる.
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