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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生43巻6号

1979年06月発行

文献概要

講座 臨床から公衆衛生へ

熱中症

著者: 三浦豊彦1

所属機関: 1労働科学研究所

ページ範囲:P.426 - P.427

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熱中症の歴史■
 日本の夏の高温高湿は今に始まったことではない.この外気の高温高湿が職場に影響を与えたし,職場に熱源が存在すればさらに耐えがたいものになった。
 徳川時代の書物や絵巻のなかには,いくつかの熔鉱炉前作業の図がある.このなかに吹大工(現在の炉前工)が描かれている.平瀬徹斎の編んだ『日本山海名物図会』や住友家の刊行した『鼓銅図録』には,吹大工が防熱用の衣莚を着用している図があるし,『生野鉱山絵巻』には吹大工が衣莚を着用し,顔には「顔カケ」といって,布を張ったものをかけている図が見られる.説明には「吹大工ノモノ顔カケト唱へ布ヲ張リタルモノヲ顔エカケ体ニハ衣トトナへ叺ヲカケ火気ヲ凌キ吹方イシ候」とある.つまり,徳川時代,鉱山の製錬所では簡単な防熱衣や防熱面を使用しなければならぬほどの職場が存在していたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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