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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生43巻6号

1979年06月発行

文献概要

綜説

英国における疾病とSocial Class Differences

著者: 鏡森定信1

所属機関: 1金沢大学公衆衛生学

ページ範囲:P.429 - P.436

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〔Ⅰ〕緒言
 急性感染症の予防および治療に対して,われわれは著しい成果をあげることができた.これらの経験は疫学の発展を呼び,疾病の流行に対しては宿主(host),環境(environment),病因(agent)の3要因による総合的対処の必要なことが明確にされてきた.各種の有効な治療は急性疾患のかなりの部分を克服はしたものの,その後われわれは慢性疾患という新しい課題に直面することとなった.出生率の相対的な減少は平均余命の伸長ともあいまって,いわゆる老齢化社会の到来を急速に引き起こし,その結果として加齢現象等と深い関連を有する悪性新生物や循環器障害等,徐々に発症し,経過のきわめて長い疾病や慢性感染症への対処が要求されるようになった.
 慢性疾患の発症には広く生活環境が関連しており,またこれらの疾患からの社会復帰に際しても,労働条件をはじめとする生活環境が,その再発あるいは悪化などときわめて重要な関連を有することは論をまたない.わが国においても,各種の慢性疾患とその社会経済的要因との関連についての報告や研究を多数見ることができるが,その多くはいまだ特定の保健・医療従事者あるいは一部の研究者の努力によるものであり,少なくとも広く地域の健康状態に即した保健・医療施策を進めるに際し,活用される段階には至っていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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