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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生43巻8号

1979年08月発行

文献概要

発言あり

水危機

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.525 - P.527

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大切なのは節水の心を育むこと
 世界の年平均降雨量の2.6倍という豊かな水資源に恵まれ,私たち日本人は,水はいつも欲しいだけ与えられると思ってきた.都市で恒例的になっている夏の渇水の時でさえ,この一時を我慢すればあとはまた何とか,と空を仰いで雨を待ち,水に対する生活習慣は変えようとはしない.
 だが,昔から水はふんだんに使えたわけではない.例えば,江戸では家康開国当初から多くの人口を賄うため,水道の敷設に多くの技術と苦労があった.また,その維持管理には莫大な費用を要し,その負担者である地主の頭痛のたねは,火事,祭礼,水道料金であったそうだ.水道が廃止された本所,深川界隈では,水が売買されていたとも聞く.金を湯水のように使うという譬えがあるが,江戸の町人の間ではむしろ水の浪費を悪徳とし,水は貴重品として節約されてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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