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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生43巻8号

1979年08月発行

文献概要

調査報告

歩行開始時期とその発達指標としての意味—乳幼児健診の立場から

著者: 上田礼子1 藤井光恵2

所属機関: 1東京大学医学部保健学科母子保健学教室 2東京大学保健学科精神衛生学教室

ページ範囲:P.588 - P.592

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はじめに
 乳児の歩行開始時期には個人差の幅が大きく,したがって,歩行開始の時期を発達の指標として正常児と異常時を判断することは,かなり困難であることが知られている1).また,正常に発達している乳幼児の歩行開始には,生物学的因子のみならず,生育環境が関与していることを示す知見がある.
 C. B. Hindley2)は,歩行開始時期についてヨーロッパ5カ国の都市における国際比較を行い,国によって差違のあったことを報告している.G. NeliganとD. Prudham3)は,イギリスの乳幼児を対象に養育環境の歩行開始時期への影響を検討した.そして性別,出生順位の違いによって歩行開始時期に差はなく,社会階層の違いにより有意差があったことを述べている.さらに,C. M. Super4)はアフリカの乳幼児を対象にして,養育行動の違いが歩行開始時期に関与していることを観察している.上田5)らは,東京と宮古群島・八重群島(沖縄)の乳幼児の発達を比較して,歩行開始に至る乳児後期の粗大運動発達に差異のあることを見出し,その理由として,養育方法とその背景にある気候・風土・歴史・経済などの,より広い生活環境の差異が関与していることを報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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