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特集 80年代の展望—保健・医療・福祉
80年代の健康教育を展望する
著者: 村井孝子1
所属機関: 1津田塾大学・保健教育
ページ範囲:P.27 - P.33
文献購入ページに移動住民が健康教育と保健企画に参加することは,あらゆる段階において社会がとらねばならぬ責任である,とWHOの健康教育局から送られてきた資料に記されているが,教育そのものの意味を考え直すうえで味わうべき提言である.参加することは,受け身に動くことではなく,自分の意思を持っていること,目標と企画とを理解して,その中に何らかの役割をもって問題の解決に協力をすること,またニードの発見,企画の実践と評価までの過程を共有すること,などを含めている.そのためには,研究会も必要であるし,調査その他の活動の必要も生ずることであろう.少なくとも,それだけの枠はすぐ頭に浮かぶのである.健康原理が日常生活行動の基盤となるためには,諸方面の専門家の協力を得て,科学的基礎概念と具体的目標や実践指導法に対する専門の研究が必要である.健康教育学が独立した指導者養成機関を早急に持つことの意味は大きい.それから,民間にリーダーシップ(たとえば,住民の意思を代表しながら,部分的に役割担当ができるなど)のとれる人材を発見し,またボランティア・リーダーを養成することも必要であろう.諸外国ではこの方法が盛んである.「今(1937年)の英国民の健康は,1世紀を経て得られたものである.
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