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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生44巻1号

1980年01月発行

文献概要

講座 臨床から公衆衛生へ

脚気

著者: 橋詰直孝1

所属機関: 1東邦大学第2内科

ページ範囲:P.62 - P.63

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はじめに■
 脚気はかなり古くから知られている疾患で,特にわが国では,徳川時代に白米を食べるようになった江戸で流行し,"江戸わずらい"と呼ばれていた.明治になっても脚気の原因がビタミンB1(以下,B1と略す)欠乏にあると結論されず,感染説,中毒説などが出回って,脚気は国民病として恐れられていた.大正12年には脚気で約27,000人の死者を出している.しかし,その間に多くの研究により脚気はB1欠乏が主因であることが結論され,脚気で死亡する者は激減し,食糧事情が良くなった今日では,脚気発症すら稀なことであると思われていた.
 ところが昭和49年,第15回日本神経学会総会で,若年男子を中心に下肢浮腫を伴う多発性神経炎の数例の報告があった.その後も各地から同様な症例の報告があり,初めは脚気とは断定されず,なにか新しい疾患単位ではないかと考えられ,かつて議論されたように感染説や中毒説も出現した.しかし,これらはすべて脚気であることが後に判明し,過去の疾患と考えられていた脚気が再び注目されるに至った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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