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癌の免疫療法
著者: 古江尚1
所属機関: 1帝京大学内科
ページ範囲:P.66 - P.69
文献購入ページに移動癌細胞は生体に寄生したものであり,したがって,生体にとっては異物である.生体は癌細胞を異物として認め,異物として対処する.
癌細胞には癌に特異的な抗原,あるいは癌に関連のある抗原があって,これが生体の免疫系を刺激し,生体が反応していることが,いろいろの免疫学的手法で確かめられている.そして,このような現象が癌の免疫療法の重要な理論的基盤のひとつになっている.ただしかし,癌細胞はもともと正常細胞が変異して発生したものであり,したがって,癌細胞と正常細胞の差が少ない.抗原性が弱く,それに対する生体の反応も弱いということが,癌の免疫療法をむずかしくしている大きな理由である.つまり,癌を免疫療法だけでコントロールしにくい,ということである.
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