公衆衛生44巻10号

1980年10月発行

講座 臨床から公衆衛生へ

糖尿病の知識

著者： 平田幸正¹

所属機関： ¹東京女子医大糖尿病センター

ページ範囲：P.720 - P.721

はじめに■
　糖尿病は，きわめて複雑な疾患であり，むしろ一つの症候群というべきものである．一口に糖尿病といっても，その中には多数の独立した疾患を含むといえる．
　今日，世界的な傾向として，糖尿病罹患人口は増加を示し続けており，文明国では人口の1〜2％を占めるといわれている．また，急激な西欧化の進んだピマ・インディアンとか，ナウール島住民とか，特種の民族では最近になって人口の30〜40％が糖尿病に罹患する，という注目すべき事態もみられる．