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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生44巻4号

1980年04月発行

文献概要

論考

「疫学」の定義をめぐって

著者: 丸井英二1

所属機関: 1東京大学疫学

ページ範囲:P.280 - P.285

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■疫学の定義
 ある学問領域の定義をするという試みは,きわめて困難である,たいていは,さまざまな議論の末に立ち消えになるのが落ち,ということになっている.確かに,定義をすることが,すでに存立している学問分野に制約を与え得るはずもなく,定義が先行してその定義の枠内だけで学問が生長する姿も想像し得ない.そのような学問があるとすれば,奇形としか言いようがない.
 これから取り上げようとする「疫学」についても,同様のことが言えよう.疫学は教科書によれば,古くヒポクラテスに遡り,あるいは近代疫学は19世紀半ばのJ.Snowのコレラの研究にまで遡ることができる.わが国でもすでに森鷗外が「疫理学」として紹介していることからも知られるごとく,少なくとも移入以来1世紀近くになる学問分野である.とすれば,いかなる形にせよ,「疫学」は現実にそれに従事する人材を有し,それ相応のコンセンサスの上に成立していると考えて無理はない.しからば,そのコンセンサスはどのようなものであるか,定義のされ方という面から探ってみることができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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