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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生44巻5号

1980年05月発行

雑誌目次

特集 アジア諸国の産業保健

第9回アジア労働衛生会議を顧みて

著者: 久保田重孝

ページ範囲:P.304 - P.305

■アジア労働衛生会議の成り立ち
 Asian Conference of Occupational Health(ACOH)といってもなじみのない方も多いと思うので,この会の成り立ちについて少し説明を加えておきたい.この会は,労働科学研究所の初代所長,故暉峻義等博士の呼びかけで成立したAsian Association of Occupational Health(AA-OH)の主催する学会で,第1回会議は1956年に日本で開催されている.このときには日本名はアジア産業保健会議と称したが,1976年に第8回ACOHが再び日本で開かれた際に,アジア労働衛生会議と呼ぶことになった.
 この会議は日本の呼びかけで始まっており,その後,表1のように2〜3年おきに開催されておりながら,第8回会議まで20年間も日本本で開かれなかったことを奇異に感じられる方があるかも知れないが,この間の事情については筆者は『日本産業衛生学会創立50周年記念号』(1979年4月)に述べておいたし,同年の該学会総会で行なった「産業衛生管見回顧50年」という講演をとりまとめた冊子にも取り上げてある.ちょっとその一部をここにも紹介しておくこととする.

国際的—地球的レベルでみたアジアの産業保健

著者: 山口誠哉

ページ範囲:P.306 - P.314

■はじめに
 昭和54年10月22日から28日まで韓国の首都ソウルにおいて,第9回アジア産業保健会議が開催された.この会議は3年に1回,国際産業衛生会議の間に開催されることになっているが,前回,すなわち第8回会議は昭和51年10月27日から11月1日まで東京において行なわれ,これは日本にとって第2回目の会議招請であった.
 アジア産業保健会議は,その第1回会議が故暉峻博士(当時,労働科学研究所初代所長)の提唱により昭和31年東京で開かれて以来,その会場はカルカッタ,マニラ,ジャカルタ,ボンベイ,マニラ,ジャカルタと移り,昭和51年の東京につづいて昭和54年のソウルとなったのである.

産業中毒—韓国からの発表を主として

著者: 堀口俊一

ページ範囲:P.315 - P.321

■はじめに
 本特集のうち,筆者分担の「産業中毒」に関して,第9回ACOH(Asian Conference of Occupational Health)における演題発表は10月24日のSession 7と8,25日のSession 11で行なわれ,Session 8には鉛中毒が集められた.これらToxicologyの領域の演題数は意外に少なく16題で,プログラムの予定以外にPeñalverのマンガン中毒に関する総説的な講演などが加わったが,予定の16題中10題までは日本からの発表であった.このことから,日本以外のアジア諸国における産業中毒の動向をうかがえるほどのものではなかったといえる.
 本稿では,韓国から発表された5演題を紙数の許す範囲で紹介する(No. 28は会場で演者から口演原稿を,その他は延世大学Kim Myung Ho教授を通じてfull paperに準ずるものを入手した),あとは附録として,韓国における最近の職業病統計と労働衛生関係の文献のテーマを紹介して,韓国の労働衛生事情の一端を推察する資料としたい.

物理的要因による職業病

著者: 岡田晃

ページ範囲:P.322 - P.327

■はじめに
 物理的要因として,温熱条件,電離放射線,非電離放射線,気圧,騒音,振動などが挙げられるが,この要因は職業病の発生要因として,わが国におけると同じように他のアジア諸国においても重要な課題であることには変わりはない.しかしながら,この種のことは,工業化の程度と密接な関連があるので,各国が当面している問題にも大きな開きがあるはずであり,今回のアジア産業保健会議の発表でみる限り,ある要因はいくつかの特定される国々だけで関心が持たれ,他の国ではその問題の萌芽すら感じられないような印象さえ受けたのである.とはいうものの,将来においては各国とも同じような段階を経ることが想定されるのであり,この物理的要因に関してもすでに述べたように工業化の水準と表裏の関係にあるだけに,多くのいわゆる先進国が犯したと同じような誤りを再び繰り返さぬようにすることこそ,肝要であることが指摘される.
 第9回の会議での演題数は75題であったが,本テーマに関連があったのは,セッション12の「物理的要因による職業病」で,この演題は10月26日9時30分から12時の間に発表された.

農業労働に起因する疾患

著者: 大和田国夫

ページ範囲:P.328 - P.334

■はじめに
 第9回アジア産業保健会議が1979年10月22〜28日,韓国のソウルで開催された.本会議に参加した国は,日本を除いてはほとんどの国が農業を主とする国であり,しかもその中には熱帯ないし亜熱帯に属している地域が多いので,独特の気候,風土に起因する疾患がみられるはずである.しかし,農業労働に関する報告は,それほど多くなく,日韓印の共同報告1題,日韓共同報告1題,タイ1題,日本1題の4題であった.以下,個々の演題を中心に紹介してみたい.

非職業性疾患

著者: 西川滇八

ページ範囲:P.335 - P.338

■はじめに
 産業保健において非職業性疾患が問題になる場面としては,2種類ある.
 その1つは,開発途上国において,ようやく産業革命が始まったばかりの時期である.それは洋の東西を問わず経験しているところである.これを筆者は産業保健の第1期と呼ぶことにしている.すなわち,英国においてはSir Edwin Chadwickが "Report on an inquiry into the sanitary condition of the labouring population of Great Britain, 1842" において述べているごとく,労働者階級の子弟は満5歳になるまでに半数以上が死亡し,都市における労働者階級の平均死亡年齢は貴族より20歳以上も低く,商人よりも1〜6年も短い.その死亡原因は劣悪な環境衛生条件にあり,必ずしも職業性疾患とは限らない.コレラ,チフスなど一般の急性伝染病による,ということであった.わが国においても,日清・日露の戦争を契機として産業革命が進展した.その経過において「女工と結核」は産業保健の重大問題と化し,工場法が施行されるに至ったことは周知のとおりである.要するに産業の発達段階においては,社会的にも事業所においても環境衛生面に欠陥があり,さらに過重労働や長時間労働などと栄養補給の面におけるバランスも崩れ,一般の疾病とくに伝染病の流行をみるに至るわけである.

環境管理

著者: 小木和孝

ページ範囲:P.339 - P.344

■はじめに
 産業保健のなかにおける環境管理は,生産活動そのもの,職場そのものの設計のされ方に左右されるから,産業保健活動としては工学的技術との接点が最も大きいといっていいだろう.産業保健が組織立って行なわれていなくても環境管理はそれなりにやられているものだし,また,いざ組織立ってきちんと環境管理をやろうとすると,工学技術や経済性の壁が厚いことにもなる.この事情は,アジアのどの国をとっても同様だと考えられる.ましてや,3年ごとの地域学会に出てくる報告から,この現実にやられている環境管理なり,その壁なりを知ることはとても難しい,ソウルで開かれた第9回アジア産業保健会議の「環境管理」(Environmental Control)のセッションに出て,まず第一に感じたのは,この点だった.
 この印象は,アジア産業保健会議だけからのものではなく,ここ数年アジア諸国をいくつか回って見た経験からも感じていた点である.ただ大づかみにいって,環境管理が決して組織立っては行なわれておらず,その管理技術の実情がお互いに十分交流され合うことが乏しく,国際的な協力もいくつかの試行的なものにとどまっている,といえそうである.こと環境管理になると,日本でも産業保健のなかで正当に位置づけられているとはいいがたい,困難の大きい分野であるが,アジア諸国では,それにもまして壁が厚い状況にあることは否めない.

産業保健教育

著者: 小泉明

ページ範囲:P.345 - P.350

■はじめに
 第9回アジア産業保健会議では「産業保健教育」を主題とするシンポジウムが企画された.筆者はシンポジウムにおける演者の一人としてこれに参加したので,ここにその大要を述べることにしたい.
 アジア産業保健会議の母体であるAAOH(Asian Association of Occupational Health;アジア産業保健学会,本特集ではoccupational healthに産業保健という言葉が用いられているのでこれに準じた)は,3年前の1976年に第8回アジア産業保健会議が東京で開催されたのを機会に,permanent committeeとして教育委員会(Education Committee)を設けた.その委員長は,ここに述べるシンポジウムで司会者を務めたDr. W. O. Phoon(シンガポール大学)であり,日本からは小木和孝氏(労働科学研究所)が委員として加わっている.したがって,このシンポジウムはAAOHの教育委員会の企画になるものといってよい.

講座 感染症とワクチン

【Ⅰ】麻疹と麻疹ワクチン—最近の話題

著者: 杉下知子

ページ範囲:P.351 - P.358

 ワクチンがひとつの感染症の予防手段として極めて有用であることはいうまでもない.また,その普及とともにその感染症の流行様式が変化し,今まで気づかなかったことが問題になったりする.たとえば,麻疹ワクチンが普及すると罹患年齢が低年齢化したり,逆に未罹患のまま成長して高校生や大学生などの間での罹患が生じ,大人の臨床像などが問題になってくる.ワクチンの恩恵で一般小児の感染が減少すると,今度は,ワクチン禁忌者の麻疹罹患の際の重篤化が問題になってくる.このような問題はワクチンで予防し得る感染症に共通している.この講座では,ここ数年に各国で発表された学術論文を紹介しながら,麻疹,風疹,百日咳などの感染症のおかれている現況を考察してみたいと思う.また,わが国のワクチンの現状についても簡単な説明を付記するので,役立てていただければ幸いである.

臨床から公衆衛生へ

学童の自律神経不安定症—とくに起立性調節障害について

著者: 阿部忠良

ページ範囲:P.359 - P.361

はじめに
 学童期の自律神経機能は,副交感神経が主に働いている幼児期を過ぎ,交感神経の働きがこれに加わって次第に交感神経の活動が主になり,副交感神経の働きと複雑にからみあいながら次第に成人型に近づいて行く.したがって,全般的に自律神経不安定の状態にあり,そのバランスは容易にくずれやすい.
 小児の自律神経失調症には気管支喘息,周期性嘔吐症,臍仙痛,不整脈など種々あるが,ここでは学童期に多い起立性調節障害について述べる.

連載 戦後の公衆衛生

【Ⅲ】医療技術・機器

著者: 麦谷眞里 ,   北井暁子

ページ範囲:P.364 - P.366

■はじめに
 一般にMEと呼称されている医療用電子機器は,エレクトロニクス産業そのものの隆盛とも相まって,最近では小さな医院でも何かひとつぐらいは置いてあるほどになった,最新MEの代表ともいうべきCTスキャンを例にとってみても,昭和50年下期にわずか8台だった日本国内の設置台数は,翌年上期に50台へと一挙に増加し,その後も増え続け,昭和54年3月末で500台が稼動していると言われている.
 このように,MEはそれぞれの分野で急激な増加をみせており,戦後の公衆衛生・医療を語るにあたって看過することはできない状況にある.地球上における医療関係の生産全額は,医薬品を除くと約3兆5千億円と言われているが,その多くの部分をMEが占めていることは論を待たない.

研究

東北住民の循環器検診後の管理成績における統計学的研究—(第1報) Scoreによる血圧水準と尿一過性陽性頻度

著者: 土屋真

ページ範囲:P.368 - P.373

 筆者が関係した宮城県内の農漁村に備えてある,循環器の「検診票兼管理カード」の経過観察成績を検討したので報告した.
 (1)約10年問の尿有所見者の一過性陽性頻度をみた.平均受検回数は5.4回であり,農村N町の30歳以上の男1,752名,女2,223名の成績である.一過性尿蛋白陽性頻度は男女とも約75%,一過性尿糖陽性頻度は約60%,一過性尿ウロビリノーゲン(⧺)以上頻度は約80%であって,次回検査で消失する可能性が大きい.
 (2)初回検診後10年間のN町の脳死頻度は,男60歳未満群で1,291名中1.2%,60歳以上群で461名中17.4%,女60歳未満群で1,695名中0.5%,60歳以上群で528名中11.4%.最大血圧150mmHg以上180mmHg未満群の脳死は,男60歳未満1.2%,60歳以上16.3%,女60歳未満0.7%,60歳以上6.9%.ことに最大血圧180mmHg以上群の脳死も,男60未満11,7%,60歳以上39.8%,女60歳未満7.0%,60歳以上31.7%であって,年齢・血圧が高いほど高率である.
 (3)N町の40歳以上高血圧男女787名の初回検診後10年間の脳死を,眼底所見別にみた.K. WO群およびI群7.4%,K. WHa群以上19.8%で,眼底所見が進むほど脳死頻度は明らかに高い.

発言あり

洗剤と水質保全

著者: ,   ,   ,   ,  

ページ範囲:P.301 - P.303

合成洗剤の追放だけではすまない——総合対策を
 過去20年間における合成洗剤の普及にはめざましいものがあるが,このように合成洗剤が広く使われるようになったのは,これが石けんに比べて格段に洗浄力がすぐれているためである.この強力な洗浄力は,1つは界面活性剤の作用であり,もう1つはリン酸塩の作用であるが,すぐれた洗浄力のもとである洗剤成分が,2つとも水質汚染とのかかわりで問題にされたのは皮肉である.
 さて,合成洗剤による水質への影響が最初に取り上げられ,その犯人として摘発されたのは,界面活性剤のアルキルベンゼンスルフォン酸塩(ABS)であった.この物質は,水中の微生物による分解を受け難く,そのため残留ABSの生物に与える毒性が懸念されたのである.問題のきっかけは,河川の堰や下水処理場で,泡立ちが異常に目立ち始めたことに気づいてからであるが,その後の研究・調査によって,現実に水中に残留している程度のABSでは人体あるいは魚介類に影響はなく,また下水処理の過程にも影響を及ぼさないという結論が出された.しかし,泡の発生という問題は残された.そこで,生分解性の高い界面活性物質の開発が進み,線状アルキラートスルフォン酸(LAS)が,ABSに代わって用いられるようになり,これで洗剤による水質汚染は解決したようにみえた.

地域保健施設の活動

健康度の測定から健康度の増進へ—香川県健康増進センター

著者: 竹内義員 ,   工藤隆

ページ範囲:P.362 - P.363

はじめに■
 近年,わが国の診断,治療に関する医学は著しい進歩を遂げ,さらには予防医学の発達と健康管理の徹底がこれに関与し,われわれ日本人の平均寿命は伸長の一途をたどって,いまや世界第一の長寿国にまで変貌した.しかし一方では,その死亡原因の上3位を占める脳卒中,癌,心臓病による死亡数が横ばいから,むしろ上昇の傾向をさえ示しており,ここに成人病対策の重要性がさらに認識される理由がある.
 従来,これら成人病の対策としては早期発見,早期治療を目的とし,集団検診,人間ドックなどが実施され,疾病予防に効果を発揮しつつある.しかし一方では,社会機構の複雑化から来るストレスの影響や,慢性的運動不足から生じる肥満など,現在の生活には支障は認めなくとも多かれ少なかれ身体的に問題を有する,いわゆる"半健康人"が将来の成人病予備軍として無視できない存在であろう.ここに体力向上,健康増進を目的とした「健康増進センター」構想が厚生省で提唱され,すでに宮崎,長野,愛媛,鳥取の各県において設立,活動を開始している.

日本列島

薬物乱用の状況—沖縄

著者: 伊波茂雄

ページ範囲:P.314 - P.314

 県における薬物乱用の状況をみると,まず麻薬取締法違反については昭和48年の259件・270名をピークに逐年減少し,53年には9件・7名が検挙されたにすぎない.54年は6月末現在で6件・5名となっている.
 このような状況下で医療機関からの医療麻薬中毒の通報が6件(35年)あり,捜査機関や矯正施設などからの通報はない.覚せい剤事犯についてみると,47年にはゼロであったのがやや増加をみせ,52年には40件・25名の検挙をみているものの,53年には15件・13名と減少した.しかし,従来は接客飲食業関係者が主体となっていたものが,53年には未成年女子による事犯の発生をみていることと,全員が日本人であることから,覚せい剤禍が心配されていたが,54年は6月末現在で2件・1名となって少ない傾向のようである.

沖縄県におけるがん死亡

著者: 伊波茂雄

ページ範囲:P.334 - P.334

 昨年9月のがん征圧月間に沖縄県の主要死因は,がんが脳卒中を抜いてトップになっている.これは全国平均の死因トップが脳卒中であった52年からのことである.昭和52年における総死亡者数は5,276人であったが,そのうち最も多いのはがんの959人で18.2%,次いで多いのは脳卒中の913人で17.3%,続いて心臓病が660人で12.5%,老衰が505人で9.6%,肺炎・気管支炎が296人で5.6%の順になっていた.昭和53年の総死亡数は5,153人でやや少なくなったが,そのうち最も多いのは悪性新生物の1,004人・19.5%で,52年より多くなっている.次いで脳卒中が853人・16.5%であるが,これは前年に比較して60人減少している.以下,心臓病が710人・13.8%とやや増加,老衰が481人・9.3%とやや減少,肺炎・気管支炎が313人・6.1%とやや増加,となっている.
 このような状況を全国平均人口10万対(概数)と比較してみると,総死亡は全国が607.7——沖縄が447.6(約73%),脳卒中は149.8——79.1(約52.8%とはるかに少ない),がんは131.2——93.1(約70%),心臓病は93.2——65.8(約70%)となっている.

自治医大1期生の第一線活動—岐阜

著者: 井口恒男

ページ範囲:P.358 - P.358

 昭和53年自治医大の1期生が巣立ち,すでに2年間の臨床研修も終了した.県によっては,研修期間の時期においても,離島等の診療活動に1期生を派遣しているところもある.
 岐阜県においては,研修第1年次は主要各診療科をローテートし,2年次では各診療科のローテート研修ないし特定科の専門研修を受けており,卒後3年目から,へき地の第一線で診療活動に入っている.1期生は3人であり,合掌造りの白川村をはじめ,それぞれ村の医療機関に派遣された.

随想

手づくりと文化

著者: 堤隆信

ページ範囲:P.373 - P.373

 小学校五年生になる娘が,あるとき学校から遠足の携行品についての便りを持ち帰った.この中に弁当として注意書きがあり「手づくり」と記されていたことが,ずっと気にかかっていた.その後しばらくしてその疑問は妻に問うたことから解けた.それは「遠足・運動会などには,近頃店で売っている外食屋さんのものを持って行く子供が増えたので,先生が特につけ加えられたのでしょう」との言葉に,ホウ! ここまで均一化したのかと思うとともに,「手づくり」という耳慣れた言葉に興味を感じた.
 私の家に木製のサラダナイフとスプーンがある.一昨年,関係各位のご尽力を得て訪欧する好機を与えられた時,チェコの古道具屋の店先で求めた手づくりの台所用品である.この二つの道具を使い出したら,今まで使っていた金属製のものよりぐんと具合がよいと家の者がいう.この二つの道具は,見かけは武骨であるが,大きさ,重さ,野菜のはさみ具合はまことによく,手になじむ,これを作ったチェコの職人の「これでよし」と感じた手ざわりが,そのまま伝わってくる.作るのも,使うのもいずれも人の手で,それらがよい感触を生む原因かもしれない.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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