icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生44巻5号

1980年05月発行

文献概要

発言あり

洗剤と水質保全

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.301 - P.303

文献購入ページに移動
合成洗剤の追放だけではすまない——総合対策を
 過去20年間における合成洗剤の普及にはめざましいものがあるが,このように合成洗剤が広く使われるようになったのは,これが石けんに比べて格段に洗浄力がすぐれているためである.この強力な洗浄力は,1つは界面活性剤の作用であり,もう1つはリン酸塩の作用であるが,すぐれた洗浄力のもとである洗剤成分が,2つとも水質汚染とのかかわりで問題にされたのは皮肉である.
 さて,合成洗剤による水質への影響が最初に取り上げられ,その犯人として摘発されたのは,界面活性剤のアルキルベンゼンスルフォン酸塩(ABS)であった.この物質は,水中の微生物による分解を受け難く,そのため残留ABSの生物に与える毒性が懸念されたのである.問題のきっかけは,河川の堰や下水処理場で,泡立ちが異常に目立ち始めたことに気づいてからであるが,その後の研究・調査によって,現実に水中に残留している程度のABSでは人体あるいは魚介類に影響はなく,また下水処理の過程にも影響を及ぼさないという結論が出された.しかし,泡の発生という問題は残された.そこで,生分解性の高い界面活性物質の開発が進み,線状アルキラートスルフォン酸(LAS)が,ABSに代わって用いられるようになり,これで洗剤による水質汚染は解決したようにみえた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら