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随想
手づくりと文化
著者: 堤隆信1
所属機関: 1岡山県衛生部医務課
ページ範囲:P.373 - P.373
文献購入ページに移動私の家に木製のサラダナイフとスプーンがある.一昨年,関係各位のご尽力を得て訪欧する好機を与えられた時,チェコの古道具屋の店先で求めた手づくりの台所用品である.この二つの道具を使い出したら,今まで使っていた金属製のものよりぐんと具合がよいと家の者がいう.この二つの道具は,見かけは武骨であるが,大きさ,重さ,野菜のはさみ具合はまことによく,手になじむ,これを作ったチェコの職人の「これでよし」と感じた手ざわりが,そのまま伝わってくる.作るのも,使うのもいずれも人の手で,それらがよい感触を生む原因かもしれない.
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