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特集 人畜共通伝染病
家畜伝染病予防の現状
著者: 小山国治1
所属機関: 1農林水産省畜産局衛生課
ページ範囲:P.405 - P.409
文献購入ページに移動昭和30年代までのわが国の畜産は,農業の構造全体の中でも副業的な経営形態で認識されていたが,40年代に入ってから専業的な経営に変貌するとともに,その大型化が目立つようになった.そして,家畜の飼養形態も急速に集約的かつ過密化の度合を深め,家畜衛生の対象も,個体から集団としての畜群へと転換を余儀なくされてきた.このような変化の中で,生産性の著しい発展,向上があった反面,疾病の多発や新たに畜産による環境の汚染,医薬品の多用による畜産物の汚染などの問題が生じ,経営環境もいっそう厳しくなっている.かくして,家畜衛生の対応する分野も多様性を増し,複雑さを深めている.しかしながら,最近における家畜衛生行政は,全般的に比較的平穏のうちに推移しており,喜ばしい状況にある.その背景として,昭和40年代初頭まで続いた豚コレラ,ニューカッスル病など,特に急性伝染病の全国的な流行の繰り返しによる損失と混乱の中で,多くの困難を克服しながら,一応その防疫に着実な成果を収めてきた経験と自信の裏づけがあるものと考えているが,全国的な家畜衛生体制が整備される一方,獣医学の進歩を受けて技術の応用,普及がはかられ,さらに畜産関係者の衛生思想の向上などの種々の要因の相乗的効果によるとも考えている.
ここでは,わが国の家畜の伝染性疾病の防疫について述べることとする.
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