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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生44巻7号

1980年07月発行

文献概要

特集 かびと健康障害

かび毒の食品汚染とその対策

著者: 一戸正勝1

所属機関: 1国立衛生試験所衛生微生物部

ページ範囲:P.492 - P.498

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■はじめに
 今日,かび毒——マイコトキシン——として報告されている真菌類の生産する有毒代謝物を数え上げると,300余種を超える膨大なものになるという.これら個々のかび毒がクローズアップされてきた背景には,さまざまな要因が挙げられる.まず,ヒトもしくは家畜,家禽などの中毒事例に端を発して,中毒原因物質の追求の結果として見出されたものが中心をなすのは,当然のことであろう.歴史的にはいわゆるかび毒が問題とされる以前にも抗生物質としてかび代謝物が知られていながら,毒性の面で実用に至らなかったものもかなり含まれている.また,わが国の黄変米事件やアフラトキシン中毒を契機として,食品,家畜飼料などから分離したかび類が実験動物に対し毒性を示したことから,かび毒として認識されるに至ったものまで,さまざまな経路を経て,かび毒の仲間が構成されている.
 本稿では,単に毒性の面だけで評価するのではなく,実際のヒトの生活に直接,間接にかかわりあいを持つものとして,食品類の中に自然汚染の形で検出されるかび毒群——アフラトキシン,オクラトキシン,ステリグマトシスチン,パツリンおよび二,三のFusarium毒素類に限定して論を進めたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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