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特集 自然保護—特に人間生態学的立場から
新しい自然利用への戦略—社会化された自然を問う
著者: 大井道夫1
所属機関: 1(財)国民休暇村協会
ページ範囲:P.537 - P.541
文献購入ページに移動本誌の編集者から内々筆者に提示されたテーマは,「自然保護と新しい自然利用」というものであった.おそらく,編集者は自然利用を自然開発の意味に限定してこのテーマを決められたのだろう.それはそれでよいのであるが,筆者はあえて,「新しい自然利用への戦略」というように変更させてもらおうと思う.その理由は,自然利用という言葉には,もちろん自然開発という概念が含まれるが,自然保護という概念も含まれなければならない,と考えるからである.それゆえ,変更した標題で,編集者が意図したであろう自然保護の考え方についても,また自然開発のあり方についても,十分論述することができると判断したわけである.
されば,この小論の展開は,まず,自然利用の意味を検討することから始めなければなるまい.そして,自然開発と自然保護との2つの概念の関係を,なるべく明確なものにしなければならない.つづいて,自然開発も,また自然保護も含めた自然利用について,そのあり方を模索することにしたい.そのためには,当然のことながら,わが国で行なわれてきた自然利用のあり方について,反省してみなければなるまい.そして,その反省をふまえて,新しい自然利用のあり方を考えねばならないが,それはなかなか筆者の手に負えることではなさそうだ.それゆえ,ここでは,それに至る戦略の幾つかについて論述する程度にとどめたいと思う.
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