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特集 自然保護—特に人間生態学的立場から
生態系と人類社会を支える水
著者: 桜井善雄1
所属機関: 1信州大学(繊維学部)生態学
ページ範囲:P.548 - P.553
文献購入ページに移動太陽系の地球以外の星にも,水があるかもしれないという予想は,最近の科学的な探査によって次々に否定され,地球だけに豊かな水があることは,疑いのない事実となった.しかも,その水は地球の上で,固体,液体,気体という3つの姿で存在することができる.これは,地球がたまたま,太陽からちょうどよい距離に誕生した,適当な大きさの惑星であったことによるものである.すなわち,そのために,地球はその表面に水をつなぎとめておくのにちょうどよい質量と温度条件を持つことができたのであり,これはまさに,太陽系の奇跡と呼ぶにふさわしいことである.
地球上の生命は,原始の海の中に始まり,進化を遂げ,やがて陸上にも生活の場を広げた.したがって,生命現象にとって,最も基本的なところで水の存在が不可欠なことは,当然である.細菌のような簡単な生物から人類に至るまで,あらゆる生物の個体の生命を維持し,成長を可能にする生物化学的反応は,すべて水を媒体として行なわれる.
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