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特集 公衆衛生の分野における国際化
日本の政府間ベースにおける保健医療協力の現状と課題
著者: 萩原弘一1
所属機関: 1(財)日本国際医療団東南アジア医療情報センター事務局
ページ範囲:P.23 - P.29
文献購入ページに移動現在,行なわれている政府間ベースの保健医療協力は,国際協力事業団(JICA,昭和49年法律第62号,国際協力事業団法に基づいて設立)が,その主務官庁である外務省の監督のもとに,関係各省の指導と協力・支援を受けて実施しているところの技術協力の一部門としての保健医療協力のことで,わが国の対外援助の重要な柱の1つである.
開発途上国に住む人々の数は世界の人口の半ば以上を占めているが,これらの諸国では一部の指導者階層を除いては生活水準が極めて低く,全国的には保健衛生状態は極めて悪い.しかも,医師数は極端に少なく,医療施設の面でも当然の結果として,わが国とは比較することはできない.平均寿命は50歳以下と短命で,ライ,結核,寄生虫疾患,細菌・ウイルスなどによる感染症が栄養問題と表裏一体となって常在している.開発途上国とは,まさに公衆衛生的アプローチが優先的に行なわれねばならない国々なのである.加えて,爆発的人口増加の問題が,全地球的視野から取り上げられるようになり,人口増加の抑制を国民に示さざるを得ない途上国は,従来にもまして,よりいっそう国民の保健の増進に積極的に取り組まねばならない立場に置かれている.
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