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講座 公衆衛生学の最近の進歩・2
疫学
著者: 山本俊一1
所属機関: 1東京大学衛生学
ページ範囲:P.162 - P.167
文献購入ページに移動疫学という名称は用いなかったにせよ,医学の歴史の中において,実体としての疫学の発生は非常に古い.ヒポクラテスは,ある意味で疫学者であった.少なくとも,彼の医学の中に疫学が1つの部門として含まれていたことは間違いない.そればかりではなく,疫学の歴史はこれよりもさらにさかのぼることができよう.人が疫病(流行病)の存在を認識し,それが科学的思考に立脚していたかどうかは別として,その原因を考察し,それに対する対策を模索したときに,疫学の原型が発生したということができよう.しかし,当然のことながら,科学の基盤の上に立った疫学が出現するのは,ごく近代のことである.
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