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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生45巻5号

1981年05月発行

文献概要

特集 食品衛生

細菌性食中毒の最近の動向

著者: 寺山武1

所属機関: 1東京都立衛生研究所微生物部

ページ範囲:P.360 - P.367

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■はじめに
 食中毒は飲食物を媒体として生ずる急性の健康障害である.食中毒の原因としては微生物(主に細菌),化学物質,自然毒などがあるが,これらのうち最も多いのが細菌によるもの,すなわち細菌性食中毒である.細菌性食中毒は,腸管への細菌感染によって生ずる急性胃腸炎である感染型食中毒と,食品中で細菌が増殖する際に産生する毒素によって生ずる毒素型食中毒とに分類される.わが国では,飲食物を媒体として生ずる腸管感染症でも,赤痢や腸チフス,パラチフスおよびコレラは行政的には食中毒とせず,法定伝染病として別に取り扱われている.
 最近5か年間の食中毒発生状況は表1に示したように,わが国では毎年1,200件前後が発生している1).原因が判明したものは,その約70%であり,原因が判明した食中毒の約90%は細菌によるものである.また,約30%に認められる原因不明食中毒のうち,かなりのものは疫学的所見から微生物に起因するものと推察されるので,より精細な原因探求が行なわれるようになれば,細菌によって生ずる食中毒はさらに多くなるものとみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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