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特集 悪性新生物の疫学
消化器がんをめぐる諸問題
著者: 加美山茂利1
所属機関: 1秋田大学衛生学
ページ範囲:P.539 - P.545
文献購入ページに移動従来のがん研究は,動物を中心とした細胞レベルの研究が中心をなし,輝かしい業績を打ち立ててきたが,最近このようながん研究の方向は1つの反省期に入っており,人間のがんを見直し,ここから再び研究の歩みをすすめようという機運にあるように見える.このような意味からも,人間のがんを対象とする疫学的研究ががんの臨床的研究者からも実験的研究者からも多くの注目を集めている,といってよいであろう.
わが国におけるがんは部位別にみた場合,発生も死亡も胃がんが首位であることにその特徴がある.このことから,消化器がんについては従来から,臨床,実験,疫学のいずれの面からも多彩なアプローチがなされている.しかし,一言で消化器がんといっても,食道,胃,大腸,直腸,肝臓,膵臓などの種類によって,その疫学的様相はきわめて異なり,最近,それぞれがいずれも大きな変動を遂げている.社会的変動に伴うこのようながんの変動が逆に,これらのがんの発生要因の疫学的解明に手がかりを与えてもいる.
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