文献詳細
特集 老人保健と老人福祉
文献概要
わが国の人口構造は年々,高齢化し,1979年の老齢人口(65歳以上)は全人口の8.9%となった.1970年初頭,国連は高齢化した社会の指標を,老齢人口比率7%をこえるものと規定したが,わが国の現状はこのレベルをはるかにしのぐものとなった.人口問題研究所の予測によれば,20年後の老齢人口は西欧高福祉国なみの14.3%に達するとされている.しかも,フランスなどの諸国では,100年以上かかってゆっくりと人口の高齢化が進んだのに反し,わが国はわずか40年ほどの短期間に同じ階段をかけ上ろうとしており,高齢化社会は,わが国では既に現実のものとなっている.
このような急速な人口高齢化に対する行政の対応は,きわめて鈍い.故大平首相は日本型福祉社会論を提唱したが,これはわが国の美しき伝統とされて来た「家族の相互扶助機能」と「企業内福祉」に国の負担を肩がわりさせようとしたものであった.鈴木内閣はこの提唱を受けついで福祉の後退を策しているが,今回発表された第二次臨調にいたっては,高齢化社会についての将来ビジョンは全く提示されることなく,ひたすらゼロペース予算を貫こうとするものである.そして,老人医療無料制度をはじめとするこれまでの福祉のつみ重ねは,今やことごとく崩壊させられようとしている.
このような急速な人口高齢化に対する行政の対応は,きわめて鈍い.故大平首相は日本型福祉社会論を提唱したが,これはわが国の美しき伝統とされて来た「家族の相互扶助機能」と「企業内福祉」に国の負担を肩がわりさせようとしたものであった.鈴木内閣はこの提唱を受けついで福祉の後退を策しているが,今回発表された第二次臨調にいたっては,高齢化社会についての将来ビジョンは全く提示されることなく,ひたすらゼロペース予算を貫こうとするものである.そして,老人医療無料制度をはじめとするこれまでの福祉のつみ重ねは,今やことごとく崩壊させられようとしている.
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