研究
へき地医療の現状と課題
著者:
井口恒男1
所属機関:
1岐阜県衛生部地域保健課
ページ範囲:P.771 - P.774
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「いつでも,どこでも,誰もが」診療を受けられる体制づくりとして,救急医療対策,へき地医療対策,医療保険制度や医療扶助制度等が行政上も強化されつつあり,さらに,高度医療の確保をめざし救命救急センターをはじめとする特殊医療施設の整備も各地域に進みつつある.このうち,「いつでも,どこでも」の医療体制を常に欠き易く,また改善の遅れているのが,へき地であることは論を俟たない.しかしながら,物的人的に限られた医療資源の中で,広大な面積のへき地住民の医療需要を満たすためには,へき地医療を担当する医療施設やその従事者がその機能を効率的に発揮できるよう体系化され,条件整備されることが現実的な対応と考えられる.
へき地ないし医療過疎地域を考える場合,交通の途絶えやすい離島から道路網の整備されつつある陸地での過疎地等地理的な差違についての考慮も必要であり,また,医師の在不在,医療設備の状況など医療の質的な差違についても考慮する必要があろう.そこで,へき地医療の今後の施策の検討に資するため,岐阜県での現状と課題について紹介したい.