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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生46巻2号

1982年02月発行

特集 医学教育と保健所

Finishもなければ,拍手もない

著者: 田原直廣1

所属機関: 1京都府衛生部保健予防課

ページ範囲:P.93 - P.95

文献概要

 中国の古い言葉に,病を治すのは「小医」であり,人を癒すのが「中医」,そして国(社会)を直すのは「大医」であるというのがある.高血圧症を勉強するのに,病理や治療法のみにとらわれて,その人の生育歴や背景にある生活環境,さらには経済状況などを考慮しなければ,単に薬品を与える作業が医療であるという錯覚におちいってしまう.現在の医学教育の中で,そこまで考えさせる講義が行われているのであろうか.ましてや,社会・経済・歴史・習慣などを勘案し,医学教育の中で最も欠落しているといわれる栄養学をはじめ,他の学問を駆使して高血圧症を診る訓練はなされていないと思う.
 このような考え方は,単に将来公衆衛生に従事する者だけでなく,病院勤務にしろ開業医になるにしろ必要なことである.地域包括保健医療がさけばれている現在,病院などで患者の来るのを待っていればよいという医者は時代おくれかもしれない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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