日本列島
周産期の保健医療—岐阜
著者:
井口恒男1
所属機関:
1岐阜県地域保健課
ページ範囲:P.283 - P.283
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地域の健康水準の評価に乳児死亡率が大きな意義を持つものと指摘されているが,この乳児死亡の主要なものは新生児死亡であり,その意味で周産期の保健医療体制は重視すべきであることは論をまたない.さらに,周産期対策は死亡のみならず,放置すれば難治となり易い各種疾患を早期に発見対処する上でも重要である.すでに全国各県の乳児死亡率等にも明らかとなっているように,岡山県の高水準をはじめ,大きなバラツキがみられる.岐阜県においても,乳児死亡率や周産期死亡率の低減化をはかるべく,周産期の保健医療体制の整備について検討をすすめている.県内にはNICU(新生児集中治療設備)を備えた新生児センターは数施設しかなく,NICUも数的にも地域的にも十分なものでなく,また搬送体制も十分ではない.
周産期の対策は産科分野と小児科分野が一体となってなされるべきものであるが,現状ではチームワークの面においても一体となった活動はあまりみられないようである.56年10月オープンした大阪府立母子保健総合医療センターは理想的な形態と思われる.まだ開院間もないため,諸スタッフの不足から,一部の稼動ではあるが,産科医と小児科医の一体となったチームワークは他の周産期医療施設の模範となるものである.