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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生46巻5号

1982年05月発行

特集 難病対策と福祉

主な神経系難病の臨床的知識

著者: 廣瀬和彦1

所属機関: 1東京都立神経病院神経内科

ページ範囲:P.299 - P.307

文献概要

 難病は,1)原因不明,治療方法が未確立であり,かつ後遺症を残すおそれの少なくない疾病,2)経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず,介護等に著しく人手を要するために,家庭の負荷が重く,また精神的にも負担の大きい疾病,という2つの条件で規定される疾患群を指す.これに該当する神経疾患は,神経難病とよばれている.
 神経難病にはいくつかの特徴がある.1つは,主要症状として運動障害を呈することである.この運動障害には,運動ニューロン障害による筋萎縮,筋力低下(運動麻痺),痙直,大脳基底核錐体外路系障害による振戦,硬直,寡動〜無動,小脳系障害による運動失調などがあり,いずれも日常生活動作に支障をきたす.筋萎縮,筋力低下は筋自体の病気(ミオパチー)や神経筋接合部の障害によっても生じ,運動失調は脊髄後索障害などによっても発現する.次の特徴は,慢性進行性経過をとり,次第に障害度が増し,日常生活上介助を必要とするに至ることである.この進行パターンには2つの型がある.1つは常に進行性過程をたどるもので,作用的に同一系統に属する神経細胞や神経線維が,選択的に退行性変化をきたす系統変性疾患とよばれる群であり,他の1つは,緩解,病勢停止,再発,再燃などを繰り返しながら悪化傾向をとるもので,特定の組織(例えば髄鞘,終板など)が選択的に(免疫)反応性に障害される疾患群である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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