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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生46巻5号

1982年05月発行

特集 難病対策と福祉

主な膠原病系難病の臨床的知識

著者: 稲葉午朗1

所属機関: 1帝京大学医学部第2内科

ページ範囲:P.308 - P.313

文献概要

■膠原病の概念
 膠原病という概念は,全身の結合組織,とくに間質のフィブリノイド壊死を共通な病理所見として持つ疾患を一括するために,Klempererら(1942)によって提唱されたものであり,これに該当するものとして,まず全身性エリテマトーデス(SLE)と進行性強皮症(PSS)の2疾患,ついで慢性関節リウマチ(RA),リウマチ熱(RF),皮膚筋炎(DM),結節性動脈周囲炎(PN)の4疾患が加えられた.
 しかし,フィブリノイド壊死は膠原病とされる疾患だけの特有所見とはいえないので,この所見を概念のきめ手にするわけにはいかない.また,膠原組織はたしかに結合組織の主要な成分で,Klempererらが結合組織の炎症像からこれを病変の主座と考えたことは当時画期的なものであったが,その後,いかにも膠原線維だけに病変が限定されるような表現は好ましくないという意味で,結合組織病(connective tissue diseases)と呼ぶことが提案された.現在も結合組織病の呼称が膠原病と同義に使用されていることがあるが,結合組織の病変を主とする疾患はこれまた非常に多岐にわたるので必ずしも適切ではない.そこで,膠原病という名の持つ歴史的な意義も含め,結合組織の系統的炎症疾患と理解してこれを継承しようという考えが一般的のように思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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